石川みもりさんに新報短編小説賞 「火傷の痕と子守唄」


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長男の蒼葉ちゃんを抱き、写真撮影に応じる石川みもりさん=18日、那覇市天久の琉球新報社

 第45回琉球新報短編小説賞の最終選考会がこのほど、東京都内で行われ、石川みもりさん(本名・石川友美)(31)=浦添市、会社員=の「火傷の痕と子守唄」が受賞作に決まった。佳作は該当作がなかった。

 応募作31編を2次にわたる予備選考で5編に絞り、芥川賞作家の又吉栄喜、文芸評論家の湯川豊、元琉球大学教授で詩人・作家の大城貞俊の3氏が最終選考を行った。

 「火傷の痕と子守唄」は初めて出産したばかりの女性が主人公。幼い頃、母に虐待された経験から、自分も母のようになってしまうのではないかという不安を抱えている。産婦人科での看護師との触れ合いを通して、子が自分を必要としていることに気付き、子をいとおしく思う。

 選考会で又吉氏は「登場人物がよく造形されており、人間の本質を追求している」、湯川氏は「女性の育児についての脅迫観念と喜びの両方を、正確に描こうとした」、大城氏は「狭い家庭内の母になるというドラマだが、普遍的な世界に到達している」と評価した。

 贈呈式は来年2月2日、那覇市のロイヤルオリオンで開催する。