沖縄県失語症友の会解散へ 絆、歌でつなぐ


この記事を書いた人 Avatar photo 桑原 晶子
ボランティアと一緒にカラオケを楽しむ失語症友の会の会員ら=23日、那覇市西のパシフィックホテル沖縄

 脳卒中などで言語障がいのある人や家族らでつくる沖縄県失語症友の会(通称・ゆんたく会)が19年間の活動に終止符を打ち、来年4月に解散する。会員の高齢化が進み、会の運営が困難となった。最後の行事となる「クリスマスからおけ大会」が23日、那覇市西のパシフィックホテル沖縄で開かれ、会員らは別れを惜しみつつ歌で交流した。

 失語症は脳卒中や脳梗塞などで脳が損傷し「話す」「聞く」「読む」「書く」など、言語能力に障がいを抱える。

 友の会は1999年、県脳卒中等リハビリテーション推進協議会失語症部会として発足し、2008年に改組した。当事者の会員は約30人。月2回の言語訓練に加え、バス旅行や宿泊研修などを通じて交流を深めてきた。

 事務局長の大城貴代子さん(77)=那覇市首里石嶺町=は「会員も家族も高齢化して、送迎などが困難になった」と解散の理由を説明する。既に他界した会員や老健施設で暮らす会員も多いという。
 カラオケ大会は、友の会の発足当初から続く恒例行事。23日は当事者19人のほか、家族やボランティアを含めて約60人が参加した。当事者は家族らに支えられ、マイクを握った。それぞれのペースで「芭蕉布」や「銀座の恋の物語」などを披露すると、大きな拍手が送られた。
 失語症の福地保光さん(70)=那覇市=とデュエットした妻の恵美子さん(68)は「毎年、夫婦でカラオケを楽しみにしていた」と解散を残念がった。会長の照屋寛さん(81)=浦添市=も「寂しい」と惜しんだ。
 カラオケ大会の最後は全員で「今日の日はさようなら」を歌った。事務局長の大城さんは「当事者の笑顔と家族の協力で続けてこられた。本当は『さようなら』を言いたくない」と話し、交流を続けるための受け皿づくりを模索している。