澤岻氏に地域奨励賞 植物病理学会九州支部


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
澤岻哲也上席主任研究員

 沖縄県農業研究センター名護支所・果樹班の澤岻哲也上席主任研究員はこのほど、「マンゴー病害の発生生態と防除に関する研究」で日本植物病理学会九州支部の地域奨励賞を受賞した。受賞は県内初で、出荷されるマンゴーが直面していた病気の発生を抑える総合的な防除体系を確立し、成果を現場で普及させ、県産マンゴーの生産に寄与していることが高く評価された。

 マンゴー栽培では慢性的に果実に黒い斑点が現れる炭疽(たんそ)病や軸付近が腐敗する軸腐(じくぐされ)病が問題となっていた。カビの仲間が原因だが、出荷時には判断できずに市場や消費者に届いてから発現し、商品価値の低下やブランドの信頼を損ねる原因になっていた。県の調査によると2008年の被害額は、炭疽病は7億円、軸腐病は4億円だった。澤岻氏はハウス内での病原菌の伝染環境を明らかにし、発病率を9割近く抑制する防除技術を確立した。