事故防止に運転データ 外国人レンタカー、県内で増 危険な場所、洗い出し 国交省が実証実験


この記事を書いた人 大森 茂夫

 外国人観光客のレンタカーの事故防止につなげようと、国土交通省は利用者が多い沖縄など全国5地域で、対策に向けた実証実験に乗り出している。県内では次世代型の自動料金収受システム「ETC2・0」を活用し、今年5月から外国人利用客が急ブレーキを踏む地点のデータ収集を始めた。外国人特有の事故危険箇所を把握し対策に生かす狙いだ。利用が多い韓国、台湾、香港の観光客別でブレーキを踏む場所に違いが見られるなど、危険察知で〝お国柄〟も浮かび上がっている。

 「ETC2・0」は車載器と道路側に設置されたアンテナとの双方向通信が可能で、事故対策の面では急ブレーキや急ハンドルなどの走行に関するビッグデータを集め、防止策につなげるなどの活用が期待されている。

 県内では、沖縄総合事務局などがレンタカー会社の協力を得て5月から「ETC2・0」を搭載した6台を使った実証実験を始め、7月末までに延べ327台分のデータを集めた。

 8月からはさらに30台増やし収集を続けている。

 7月末までのデータによると、同じ国道58号沿いでも、台湾の利用客(142台)は名護市の市街地で急ブレーキを踏む地点が集中したほか、北谷町内でも地点が広く点在した。一方、韓国の利用客(100台)は名護市内で広く点在し、香港(56台)からの利用客は恩納村内に地点が集中する傾向があった。

 まだサンプル数が少なくデータ収集にはレンタカー利用客の同意が必要となるなどの制約もあるが、総合事務局の担当者は「収集と分析を続け、急ブレーキや急ハンドルを切ることが多い危険箇所で、看板などで注意喚起できることを目指したい」と話している。データ収集は2年程度続く予定。

 外国人のレンタカーの交通事故は利用数とともに急増傾向にあり、2014年度2901件だった事故件数が16年度(速報値)は9648件と3倍以上になった。右側通行、左ハンドルを採用している韓国や台湾からの観光客によるものが多いという。