会見全文/名護市辺野古への新基地建設阻止「県政の柱」/翁長雄志沖縄県知事/年頭のあいさつ/2018年1月4日


この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 久緒
職員向けの年頭あいさつで「辺野古に新基地は造らせない」と改めて決意を述べる翁長雄志沖縄県知事=4日午前9時30分、県庁

翁長雄志沖縄県知事の年頭あいさつ

 「はいさいぐすーよー、いいしょうがちでーびる(いい正月ですね)。 職員の皆さまにはご家族ともども輝かしい新春を迎え、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。

 任期の最終年となる4年目の新年を迎え、今年も多くの県民の皆さんの期待に応えられるような県政運営に邁進するべく心を新たにしているところであります。

 振り返ると、昨年も辺野古新基地建設問題への対応はもとより、米軍基地から派生するさまざまな問題が発生し、その対応に膨大な時間を費やさなければならない1年となりましたが、その中においても経済振興や教育、福祉、保健医療など満遍なく全ての分野の課題に対して、効果的な取り組みを進めることができたものと考えております。

 これも各部局長のもと、職員の皆さんがさまざまな困難な課題に直面しながらも、粘り強く日々の業務に誠実に取り組まれたことによるものであり、県民の皆さんも大変心強く感じているものと思います。 県職員の皆さまの日々の頑張りに対して、改めて心から感謝を申し上げます。 いっぺーにふぇーでーびる(大変ありがとうございました)。

 さて、昨年は沖縄県が日本に復帰して45年の節目を迎え、沖縄21世紀ビジョン基本計画に基づく、前期5年の取り組みの成果が着実に現れてきた年であります。 本県経済は、観光産業では昨年8月の入域観光客数が月間で初めて100万人の大台を突破し、年間でも900万人を超すことが確実となっております。 年平均の完全失業率も5年連続で改善をし、有効求人倍率も復帰後の最高水準を更新するなど好調に推移をしております。

 また昨年は、2月にはバンコクとの直行便、11月にはシンガポールとの直行便が就航するなどアジアとの交流拡大につながる新たな動きも出てきております。 今後も大型MICE施設の整備を始め、大型クルーズ船に対応した港湾整備など国際交流、物流機能の強化に取り組み、また幹線道路網の整備推進、沖縄ITイノベーション戦略センターの設立などを積極的に展開していく必要があります。

 また今年、沖縄県で初の開催が予定されている第56回技能五輪全国大会、第38回全国アビリンピックへ向けた取り組みを契機として、青年技能者の育成や障がいを持つ方々の職業能力の向上を図ることにより、雇用の促進に取り組んでまいります。

 さらに沖縄の自然や歴史、文化の魅力を最大限発揮するべく、世界自然遺産の候補地として選定された沖縄島北部および西表島に次いで奄美地域との交流を深めながら取り組みを進めるとともに、昨年3月にオープンした沖縄空手会館を拠点として世界の空手愛好家の受け入れ体制や交流拡大を図り、空手発祥の地・沖縄を世界へ向けて強力に発信をしてまいります。一方、全ての人が安心して豊かに暮らせる社会を目指した取り組みとして引き続き待機児童の解消に全力を挙げるとともに子どもの貧困対策の強化や高齢者福祉、健康長寿対策、北部圏域の基幹病院に向けた作業など各圏域の福祉、地域医療の充実強化に努めてまいります。

 沖縄の更なる振興に向けて、昨年5月に沖縄21世紀ビジョン基本計画の改定を行うととともに10月には後期実施計画を策定いたしました。 さらに沖縄振興の重要な土台となっている沖縄振興特別措置法が平成33年度(2021年度)に期限を迎えることから、沖縄振興の枠組みや次期振興計画の在り方等を総合的に検討するため、昨年10月からプロジェクトチームを設置しました。 今後沖縄県の新たな発展戦略を練っていくこととしておりますので、全部局の職員の皆さんのご協力をお願いいたします。

 一方、米軍基地問題については小学校への米軍機の部品落下や米軍人の飲酒運転による交通死亡事故など、昨年も依然として県民に大きな不安を与えるような事件事故が繰り返されました。 基地問題については県民の安全安心な生活を脅かす状況が今なお続いており、沖縄の過重な基地負担の軽減にはほど遠い状況にあります。

 また、辺野古新基地建設問題については沖縄防衛局が沖縄県知事の岩礁破砕許可を受けることなく、護岸工事に着手するなど度重なる県の指導を一切無視して、なりふり構わず新基地建設を強行しようとしています。 改めて申し上げるまでもなく、県民の理解が得られない新基地建設を進めることは絶対に許されません。 今後とも建白書の精神に基づき、辺野古に新基地を造らせないことを県政の柱とし、県の有するあらゆる手法を用いて取り組むとともに、普天間基地の閉鎖撤去、オスプレイの配備撤回という公約実現に向けて全力で取り組んでまいります。 私はこれからも未来を担う子や孫が心穏やかに笑顔で暮らせる沖縄を築くため、全力で県政運営に取り組んでまいります。

 職員の皆さんも各部局長を中心に県民全体の奉仕者としての責務を全うし、沖縄の誇りある豊かさを作り上げるため幅広い視点で県民の期待に答えていただくようお願いをいたします。

 また昨年は県庁で働く職員の皆さん一人ひとりが自分のことを大切にし、仕事も私生活も積極的に両方楽しんでもらいたいという願いを込めて、昨年4月に沖縄県イケボス!宣言を行いました。 職員の皆さんに置かれましては健康に留意をされ、計画的な休暇取得など仕事にメリハリを付けて、ぜひ仕事も私生活も多くの喜びを感じられるような充実した1年を過ごしていただきたいと思います。

 最後に本年が県民の皆さまにとって、そして職員の皆さまにとって良い年となりますようお祈りをし、ご家族の皆さま方のご健勝とご多幸を祈念申し上げ年頭のあいさつといたします。

 ゆたさるぐとぅうにげーさびら(よろしくお願いします)。

 いっぺーにふぇーでーびる(大変ありがとうございます)。

 たんでぃがーたんでぃ(宮古の方言で「ありがとうございます」)。

 しかいとぅみーふぁいゆ(八重山の方言で「大変ありがとうございます」)」。(おわり)