県内倒産51件、低水準を維持 消費、建設好調 東商リサーチ17年調査


この記事を書いた人 大森 茂夫

 東京商工リサーチ沖縄支店は5日、2017年の県内企業倒産状況(負債総額1千万円以上)を発表した。17年の倒産件数は前年比21・4%増の51件で、負債総額は同20・6%増の62億2300万円となった。件数は過去3番目、負債総額は過去2番目に少なかった。個人消費や観光関連、建設関連が好調で県内の景気は上向いており、倒産件数と負債総額は低い水準を維持している。

 倒産企業を業種別で見ると、サービス業が14件(構成比27・5%)で初めて最多となった。次いで卸売業と小売業の10件(同19・6%)。1975年の集計開始からトップだった建設業は7件(同13・7%)となった。那覇空港の滑走路建設や大型ホテル建設など、公共・民間ともに需要が旺盛なことから、建設業の倒産件数は初めて一桁となった。

 要因別では販売不振が最多の17件(構成比33・3%)で、赤字の累積や債務超過などの「既往のしわ寄せ」が11件(同21・6%)、放漫経営が9件(同17・6%)、過小資本が6件(同11・8%)などとなった。

 大型倒産(負債総額10億円以上)は16年より1件多い2件で、大口倒産(同1億円以上10億円未満)は1件多い13件だった。全体の70・6%が小口倒産(同1千万円以上1億円未満)だった。

 同支店は「建設業の好況感が全体の倒産件数の減少につながっている」と分析した。

 一方で「人手不足による受注制限や賃金高騰を経営環境の問題点と捉える企業が増していることにも注視していく必要がある」としている。