琉球犬 残したい 宮古島城辺「ラヴィーダ」 交配管理、繁殖促進へ


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保護した琉球犬とたわむれるNPO法人「ラヴィーダ」の呉屋順子理事長=2017年12月25日、宮古島市城辺

 【宮古島】沖縄の在来犬で県天然記念物の「琉球犬」の組織的な保存活動が宮古島市で始まっている。市城辺で動物保護活動をするNPO法人「ラヴィーダ」(呉屋順子理事長)は2010年から、琉球犬の保護を始めて現在30匹ほどを飼育する。交配をデータで管理し、繁殖が難しくなる近親交配を避ける仕組みを導入している。条件が合う希望者へは犬を提供し、繁殖を広めていく考えだ。

 琉球犬は1990年、絶滅を防ごうと保存会が設立されたが、繁殖の難しさや個人負担の大きさなどから会員が減り、現在は活動休眠状態にある。

 同法人は2010年に設立。琉球犬のほか、希少なヘビやトカゲ、カメ、魚など多種多様な動物を約1・2ヘクタールのシェルター内で飼育している。施設内では保健所に収容された犬を保護する「宮古島アニマルレスキューチーム」も活動する。

 同法人が琉球犬の保護を始めたのは、設立した10年に、呉屋さんが宮古島市内で捨てられていた琉球犬の子犬たちを発見したことがきっかけだ。1匹だけが辛うじて生きていた。その子犬と沖縄本島から譲り受けた数匹の琉球犬を交配させ、2017年だけで15匹が生まれた。雄と雌はフェンスで分けて飼育し、近親交配を避けるため交配のデータも管理している。

 琉球犬にとどまらず、同法人が保護する動物の飼育を希望すれば条件付きで提供する。その際、インターネット上で講習を受けてもらい、飼養知識を普及させるなどの仕組みも取り入れている。多頭飼育や営利目的でないことなども条件だ。

 呉屋理事長は「琉球犬は全国的に注目され始めているが、まだ足りない。認知度が課題だ。法人として種の保存に尽力したい」と話した。
(梅田正覚)