住民「海に落ちても大変」 伊計島の米軍不時着機移送 不安げに見守る


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 沖縄県うるま市与那城の伊計島に不時着した米軍普天間飛行場所属のヘリが撤去されたことを受け、島の住民からは静かな砂浜が戻ったと安堵(あんど)の声が上がった。同時に、島内での度重なる米軍ヘリ不時着に「次は住宅地に墜落するんじゃないか」など懸念の声も上がった。

 機体が別のヘリにつり下げられて運ばれるのを通信制のN高校の屋上から見下ろしていた伊計自治会の玉城正則会長(61)は連休中の出来事に「普段、(砂浜は)島民でにぎわうが、結局ずっと入れなかった。(米軍には)不満しかない」と吐き捨てた。

 不時着現場から約100メートル先に自宅がある上田清さん(70)は「やっと機体が撤去されてほっとした」と語る。昨年1月、上田さんの畑の脇の農道に米軍ヘリが不時着した。「いつか住宅地に落ちるんじゃないかと不安で仕方ない」と懸念を示した。

 つり下げられた機体は民間定期船の航路を横切った。フェリーで自宅のある津堅島から平敷屋漁港に向かっていた農家の玉城トミ子さんはつり下げを目撃し「びっくりした。目の前だったから、アイヤーナーと思って。風であおられて落ちないかねと怖かった」と顔をこわばらせた。

 上原勇行組合長は「万が一、つり上げられた機体が海に落ちたら大変だ」と強調した。本島と津堅島を結ぶ民間定期船を運営する神谷観光の神谷幸一代表(70)は「定期船は安心・安全が第一だ。一歩間違えれば事故につながる」と憤慨した。移送の通知が約1時間前だったことにも「ウチナーンチュが見下げられている」と批判した。