炭水化物 なぜ欲しくなる? 食べ物選ぶ神経細胞発見 肥満対策の応用も期待


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 久緒
琉球大大学院医学研究科の岡本士毅特命講師=17日、西原町の琉球大医学部

 食べ物を選ぶ理由は、味や見た目だけではない―。炭水化物の摂取を促す神経細胞が脳内にあることを、沖縄県の琉球大大学院医学研究科第二内科の岡本士毅特命講師(47)らのグループが、マウスを使った研究で発見した。

 岡本特命講師は17日、西原町の同大で記者会見し「人間が食べる物を決める時の神経回路や、ストレスで甘い物を食べ過ぎてしまう原因の解明にもつながる」と、肥満対策への応用など今後の研究に意欲を見せた。

 炭水化物の摂取を促すのは、本能をつかさどる視床下部に存在する神経細胞「CRHニューロン」。研究では、マウスに1日エサを与えず、ショ糖などの高炭水化物と、ラードなどの高脂肪のどちらを多く食べるかを調べた。マウスは通常、高脂肪の食べ物を好むが、飢餓状態で肝臓に蓄えた炭水化物が枯渇していると、通常の約9倍の炭水化物を摂取した。

 人工的にCRHニューロンの中にある酵素を活性化させると、脂肪の摂取が減り、炭水化物を選んで食べた。反対にわざと抑制すると、絶食後でも高脂肪を好んだ。CRHニューロンは、ストレスを感じると活性化するという。

 研究は、愛知県の自然科学研究機構生理学研究所の箕越靖彦教授や琉球大のチームで行われ、結果は米医学雑誌「セルリポーツ」に掲載される。研究グループの一員でもある同大大学院医学研究科第二内科の益崎裕章教授は「さらに研究が進めば、肥満や糖尿病の治療にも応用していけるのでは」と期待を寄せた。