那覇5割 後継者不在 中小企業調査 全国に比べ選定遅れ


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 愛知大学経済学部の打田委千弘教授は18日、那覇商工会議所と共同で実施した中小企業の事業承継に関する調査結果を発表した。55歳以上の経営者のうち後継者が決まっているのは46・2%で、過半数の53・8%が後継者不在と回答した。全国調査の「中小企業白書」で後継者が決まっている企業の割合は70~65%となっており、打田教授は「全国に比べ後継者選定が遅れている」と指摘した。

 後継者の有無を経営形態別に見ると、法人企業の50・3%で後継者が決定しているのに対し、個人事業で後継者がいるのは37・6%にとどまり、事業規模が小さいほど後継者確保に苦しむ傾向が示された。

打田委千弘氏

 業種別の候補者決定率は、不動産業が68・8%、卸売業が64・5%と高く、小売業は34・0%、飲食店は33・3%で後継者不在の企業が多くなっている。

 候補者の有無を事業主の年代別に見ると50代後半が28・6%と低く、年齢が上がるにつれて後継者が決定している事業主が多くなる。ただ、80歳を超える事業主でも後継者の決定は69・2%にとどまり、後継者が決まっていない経営者は60代で約半数、70代以上で30~40%に上った。

 打田教授は「事業承継に備える『気付き』をより若い世代のうちから誘導し、具体的なイメージを持って承継のプロセスに入る施策が必要だろう」と述べた。

 調査は2017年7月に、那覇商工会議所会員企業のうち代表者が55歳以上で、中小企業基本法に基づく大企業を除いた1663社を対象に往復はがきを郵送した。そのうち265社から回答(回収率15・9%)を得た。