服部健太さん(38)は、木下大サーカスで現在最も多くの演目に出演している入社20年目のベテランだ。足の指の力だけで上っていく坂綱や空中ブランコなど六つの演目で観客を魅了する。小学校から約10年続けた体操を生かしたいと高校卒業後、木下サーカスに入社した。
「指導の先生や先輩を超える演技がしたい」。昼夜問わず練習に明け暮れた。努力と持ち前の体操技術で最大8演目に出演できるまでになった。
約5年前、トレーニングの最中に左足アキレスけんを断裂した。半年の降板を余儀なくされ、復帰後もけがの影響は残る。
「坂綱が一番厳しい演目だ」と話す一方、一番楽しい演目も「坂綱」を挙げる。「今の実力でどう演じられるかと模索する楽しみがある」と持ち前の探求心をのぞかせた。「後輩にはまだ負けられない。芸をこれからも磨き続けていきたい」と力強く語った。