「僕よりうまくないと、ピエロの座はゆずれない」。空中ブランコでコミカルかつ華麗な技で観客の視線をくぎ付けにするピエロの「たっぴー」こと、高岡由侑(よしゆき)さん(34)=熊本県出身=は話す。
木下サーカスには18歳の時に入社し、7年間空中ブランコなどの演目に出演していたが、違う世界を見てみたいという思いから一時退社し、アクション俳優や整体師など数々の職を経験した。しかし頭の片隅でいつも「サーカスに戻ったら何ができるか」を考えていた。入社当時から共に練習をしてきた木下英樹取締役の誘いを受け31歳で再入社した。
「たっぴー」を始めた2年前は、ピエロのおどけたしぐさにとても抵抗があったと振り返る。しかし回を重ねるにつれ、観客の反応を見て改善を重ねるピエロにやりがいを見い出した。
高岡さんは「『ピエロは一番上手な人がやる』と観客は思う。その期待に胸を張って応えていく」と役に込めた思いを語った。