「旅がさらに素晴らしいものに」 電車で席を譲った沖縄の中学生に感謝


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 長崎県での修学旅行中、生徒が電車の中で席を譲ったことをきっかけに、沖縄県外の女性と読谷中学校の交流が始まっている。数回の手紙のやり取りを経て1月22日、宮原薫さん(65)=埼玉県=が来県し、同中に立ち寄った。「素晴らしい生徒さんのおかげで、旅の思い出がさらに素晴らしいものになった」と褒める宮原さんに、2年生の女子生徒らは「いつも通りのことをしてこんなに喜ばれるなんて」と恥ずかしそうに笑い合った。

修学旅行先の長崎県の路面電車で席を譲ったことをきっかけに交流が始まり、読谷中を訪れた宮原薫さん(前列中央)と読谷中の生徒ら=1月22日、読谷村の読谷中

 読谷中2年生は昨年12月、修学旅行で長崎県を訪れた。呉屋(くれや)那々海さん(14)、駒井心咲(みさき)さんら6人が乗っていた路面電車に宮原さんが乗って来た。混雑する車内で、宮原さんが読谷中グループの前を通りかかったとき、呉屋さんと饒波愛夢さんがさっと立ち上がって席を譲った。

 呉屋さんらは「沖縄のバスでもやっていること」と自然体だったが、宮原さんは「関東などではまず見られない」と感動。目的地に着くまで佐次田瑠衣さん(14)たちと観光地への道順など、会話を楽しんだ。

 宮原さんは帰宅後「電車の運転手さんにも一人一人きちんとあいさつをしていた。その場に先生がいるわけでもないのに自然な姿が素晴らしかった」と感動をつづって読谷中に送った。

 上地留菜さん(14)は「手紙が届いて感動した」と6人が1人ずつ返事を送った。宮原さんは「夕飯もそっちのけで手紙を読ませてもらった」と感激。以前から予定していた沖縄旅行の初日の1月22日、読谷中を真っ先に訪れた。

 宮原さんを迎えた喜屋原(きやはら)咲さん(14)ら4人は「普段からしていることで、こんなに褒められたことはない」と話した。伊波寿光教頭は「小さなことだが第三者から褒められると生徒たちの自信になる」と“観光大使”となった生徒らに目を細めた。
 (黒田華)