南洋戦 賠償認めず 那覇地裁 旧憲法下の行為免責


社会
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 サイパンやテニアンなどの南洋諸島やフィリピンで戦争被害を受けた県出身者や遺族ら44人が、国に謝罪と原告1人当たり1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、那覇地裁で言い渡された。剱持淳子裁判長は戦時は旧憲法下で、国家賠償法施行前のため「国は不法行為責任は負わない」などとして原告側の請求を棄却した。原告の訴えを全面的に退け「南洋戦」の一般民間被害者に対する国の賠償責任を認めなかった。原告は控訴する方針。

 判決は賠償法施行前の国による不法行為は民法上の責任が否定されているとして、原告側が不法と主張した日本軍による戦闘、加害行為などは国家賠償を負わないとする「国家無答責の法理」を適用し、退けた。

 原告らが砲弾射撃を受けたり、戦争体験で精神疾患を発症したりするなど戦争で受けた被害は認めた。その上で補償の在り方は国に裁量があり、戦傷病者戦没者遺族等援護法の運用でも不当な差別はないとして法の下の平等に違反しないと判断した。国の立法責任を求めた原告の主張は理由がないとした。戦争遂行により民間人を特別な危険状態にさらした「公法上の危険責任」を根拠とする主張に対しては「抽象的な概念で具体的な法的根拠はない」と採用しなかった。

 瑞慶山茂弁護団長は「原告の訴えに応答しない裁判所の態度は極めて不誠実で無責任だ」批判した。

英文へ→Naha District Court rules Japanese government not liable for war acts committed under the Meiji constitution