ネラー海兵隊総司令官「予防着陸で良かった」 「昨年はひどい年」 講演で相次ぐ事故に言及


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米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)で講演するロバート・ネラー海兵隊総司令官=25日、米ワシントンDC

 【ワシントン=座波幸代本紙特派員】米海兵隊のロバート・ネラー総司令官は25日、ワシントンにある米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)で講演した。海兵隊では昨年に、深刻な航空機の墜落事故が続き、「ひどい1年だった」と説明。沖縄で相次ぐ緊急着陸について触れ、「海外で予防着陸があったが、率直に言って、予防着陸で良かったと思っている。負傷者もなく、機体を失うこともなかった」と述べた。

 ネラー氏は、昨年度、機体の全損や死者が出るなど、事故の規模が最も重大な「クラスA」の航空機事故が12件発生しており、これらの大半が「機体の物理的な問題ではなかった」と述べ、訓練・整備不足や人為的ミスを示唆した。

 海兵隊にとって、航空部隊の即応態勢の回復が「今年の最も大きな課題だ」と述べ、新型航空機の購入や部品供給体制の合理化を進めることで飛行可能な航空機を増やし、「パイロットの平均飛行時間を月11~16時間に増やしたい」と飛行訓練強化を掲げた。

 一方、米連邦議会でつなぎ予算が成立せず、政府機関が一部閉鎖した事態について、予算の不確実性が機材の購入や新兵採用による兵力拡大を妨げているという認識を示した。

 国防総省が19日に公表した国家防衛戦略で、中国やロシアとの国家間競争が掲げられたことについて、「海兵隊は海軍と連携しながら、太平洋地域により焦点を当てていくことになるだろう」と海上治安活動の重要性などを指摘した。【琉球新報電子版】