石垣市長選・保守分裂 三つどもえの構図固まる 自民本部調整も不調に


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 【石垣】3月11日投開票の石垣市長選に沖縄県議の砂川利勝氏(54)が24日に正式に出馬表明したことで、現職の中山義隆氏(50)と市政野党市議の宮良操氏(61)による三つどもえの構図がほぼ固まった。砂川氏と中山氏の保守共倒れを懸念した自民党本部も調整に乗り出したが、一本化は不調に終わった。自衛隊配備問題に揺れる石垣だけに、保守分裂の波紋は石垣島内だけでなく島外にも広がっている。

 これまでの選挙では中山氏を支援してきた八重山タクシー協会は13日、「8年間(課題が)何ら一つも解決されない」などと現市政への不満をぶちまけ、砂川氏に出馬を要請した。2012年の県議選で中山氏が砂川氏とは別の保守系候補を支援したことや、陸自配備の場所を巡って一部の市議らが反発したことなどもあり、中山氏と砂川氏やその周辺との溝が深まっていた。それに加えて「市政に訴えが響かない」とする一部保守支持層にうっ積した反中山の声に押され、砂川氏出馬に至った格好だ。

 出馬意向が表面化して以降、保守分裂による共倒れを懸念する声は強まっていた。西銘恒三郎衆院議員の調整は不調に終わり、党本部の二階俊博幹事長が砂川氏に現職への一本化要請をしたが、砂川氏は出馬に踏み切った。砂川陣営関係者は「中山氏の選挙の実行部隊はこちらの後援会だ」と話し、自信をのぞかせる。

 昨年末から多方面での切り崩しを図る砂川陣営に対し、中山陣営は「守りの選挙になる」(中山氏周辺)と危機感を強める。砂川氏出馬に動揺が広がる一方で、中山陣営関係者は「業界団体の主だったメンバーはこちらについている。2期8年の実績も国とのパイプもある」と受けて立つ構えだ。中山氏を支持する建設関連団体幹部は「業界からも一部は流れていると聞くが、二分するほどではないのでは」と、砂川陣営の勢いに疑問符を付ける。

 保守分裂の動きを横目に宮良陣営は支持拡大に動く。陣営幹部は「宮良氏の名前はまだまだ浸透していない」としながらも、分裂の動きを歓迎。「オール沖縄」陣営の新人が保守系現職を破った南城市長選を例に「粛々と草の根運動をやれば勝てる」と強調する。一方で別の幹部は「保守分裂で多少気の緩みが見られる。こちらから砂川氏に流れる票もある。気を引き締めないと危ない」と危機感も強めている。(大嶺雅俊)