畜舎をレンタル、離島の農家支援 沖縄県、生産増へ設備投資軽減


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 沖縄県農林水産部は2018年度から、沖縄本島以外の離島地域に肉用牛の賃貸型集合畜舎を整備する「沖縄離島型畜産活性化事業」を始める。設備投資の負担を軽減してサトウキビ農家の畜産経営や既存農家の増頭を後押しし、高齢化による畜産農家の減少に歯止めをかける狙いがある。18年度当初予算案で設計費として1112万円を計上した。

 16年の県内の肉用牛産出額は過去最高の221億円だった。その半面で、離島地域では畜産農家の数や家畜市場の取引実績の減少が顕著となっている。宮古島市では飼養戸数が06年から16年までに296戸減少して829戸になったほか、多良間島、伊江島も同様に減少している。

 畜産は牛舎の整備や家畜の導入費用に多額の投資が必要となり、新規就農者が参入しにくい構造がある。これを踏まえて県は、行政が畜舎を建設することで農家の負担を軽減し、畜産経営の担い手を確保するなど、離島畜産業の生産サイクルの維持・拡大を図っていく。

 事業期間は18~21年度。集合畜舎は1棟当たり50頭の規模を想定し、離島地域ごとに整備を検討する。

 新規就農者が牛舎を賃貸して畜産経営のノウハウを習得した後、独立して規模を拡大することや、全体の家畜頭数の増加につながることが見込まれ、離島の生産戸数、頭数の増加で好調な肉用牛の発展を目指す。