【沖縄】11日に沖縄こどもの国(沖縄市胡屋)で開かれる琉球競馬「ンマハラシー」に、2013年の催し復活以降、初めて県外の馬が参戦する。その名は宮城県生まれで茨城県育ちの「さくら」(雌、5歳)。日本在来種の一つである北海道和種(俗称・道産子)だ。種の特性上、ンマハラシー最大の特徴である独特な足の運び「側対歩」の技術を生まれながらに備える実力馬だ。戦前生まれの沖縄の伝統競馬に挑戦する。
さくらは、東日本大震災後に宮城県で生まれ、触れ合いで子どもたちを癒やしてきた。しかし震災の影響で地域での過疎化が進んだため、元JRA(日本中央競馬会)職員の吉成麻子さん(50)=千葉県印西市=が経営する里親家庭「ファミリーホーム吉成」が引き取り、今は茨城県の牧場で元競馬ジョッキーの岡部幸雄さん(69)が面倒を見る。
ンマハラシー独特の側対歩は右前後脚と左前後脚を同時に動かす走法だが、県内でもできる馬は少ない。しかし岡部さんによると、道産子の約8割がもともと側対歩という。8日にこどもの国で実施した事前練習では、こどもの国の職員も舌を巻く走りを披露。岡部さんも「少し風邪気味だけど、調子は良い。当日が楽しみだ」と自信を見せた。
ンマハラシーは琉球王朝時代から1943年まで続いていた沖縄独特の競馬で、走る姿の美しさを競う。こどもの国が復活させて以降、毎年定期的に大会を開いている。11日は午後1時開始で、25頭が出走する。
動物園課ウマ担当の山本暁飼育員(33)は「さくらに加え、県内でも初めて走る馬もいる。県内外にンマハラシーを知ってもらうきっかけにしたい」と意気込みを語った。