「尊厳ある埋葬を」 琉球・アイヌ遺骨 返還求め那覇で集会


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 旧帝国大学の人類学者らに持ち出された遺骨が返還されていない問題で、「琉球・アイヌ民族の遺骨返還を求める沖縄集会」(アイヌ民族と連帯するウルマの会主催)が10日、那覇市の沖縄船員会館で開かれた。アイヌ遺骨返還運動で遺骨の受け皿となった団体「コタンの会」で副代表を務める葛野次雄さん(63)が「遺骨は持ち出された場所に返すのが当然だ。尊厳のある埋葬とは(研究対象の標本として)棚の上に置くことではなく、土に返すことだ」と訴えた。

琉球人、アイヌ民族の遺骨返還を求める葛野次雄さん(右)、具志堅隆松さん=10日、那覇市の沖縄船員会館

 集会は「北方領土の日」(2月7日)について考える企画。毎年2月に開かれており、今回で20回目。登壇者は明治期に琉球、アイヌモシリ(北海道)を併合した日本の植民地主義を批判した。

 葛野さんは若い頃、好意を寄せていた女性からアイヌ民族であることを理由に「付き合えない」と差別された体験を告白。北海道大学に保管されている遺骨の返還を求めた訴訟で読み上げた陳述書を、アイヌ語で披露した。「和人たちはアイヌの尊い姿(お骨)を発掘して持って行った。いまだに返さず、謝罪する様子もない」と批判した。

 沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は、戦没者について「遺骨が帰る場所は国立戦没者墓苑ではなく、家族が眠る墓であるべきだ。遺骨収集は国の国民に対する戦争責任を問う作業だ」と強調した。琉球人遺骨問題について「誰がどう考えても元の場所に戻すべきだ」と述べた。本紙の宮城隆尋編集委員も登壇した。