初の式典、伝統織物が花を添え 沖縄科学技術大学院大の学位授与式に「読谷山花織」 アカデミックドレスフードに


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
共同で製作した(左から)池原節子さん、渡辺桜子さん、ブリエル・山土林さん、レショドコ・イリーナさん、我喜屋美小枝さん=9日、沖縄県読谷村役場  

 2012年の開学後、24日に初めての学位授与式を開く沖縄科学技術大学院大学(OIST、沖縄県恩納村)はこのほど、読谷山花織事業協同組合(池原節子理事長)と共同で、学位を授与される学生が身に着けるアカデミックドレスのフード部分を製作した。

 フード部分を織った我喜屋さんは「アカデミックドレスはなじみが薄く、製作イメージが湧きにくかった」と振り返りつつ、羽織った学生たちの姿を見て「素晴らしいドレスになり、感激した」と喜んだ。

 フードは、学位授与式で学長が学生に掛け、修了証書と同様の役割を果たす。学生がデザインし、同組合に所属する我喜屋美小枝さん(63)が織って完成させた。池原理事長は「読谷山花織は海外から600年前に伝わってきたと言われている。これを身に着け、世界を股にかけて活躍してほしい」と激励した。

 9日、フードをデザインしたOIST学生自治会のレショドコ・イリーナさん(30)=カザフスタン出身、ブリエル・山土林(サンドリン)さん(40)=フランス出身、渡辺桜子さん(30)=東京都出身=が読谷村役場に石嶺伝実村長を訪ねて、報告した。

 学位授与式の式典を担当する大学院事務局マネージャーのウィルソン・ハリーさんは「OISTは40カ国から学生が来ている。沖縄の伝統を入れたかった」と話した。学生側からも「卒業後も沖縄との絆をずっと持っていきたい」(レショドコさん)などの声が上がった。

 フードはOISTカラーの赤い糸で織り、読谷山花織の特徴の「金花(じんばな)」、「風車花(かじまやーばな)」と科学の象徴「正弦波」が織り込まれている。