農産物輸送、補助を維持 沖縄県、引き下げ方針転換


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 沖縄県産農林水産物の県外出荷の輸送費を補助する「流通条件不利性解消事業」で、県は補助を引き下げるとした昨年9月の方針を見直し、2018年度も現行の補助基準額を維持することを決めた。要綱を9日付で再改定した。補助引き下げを決めた後、物流事業者が相次いで値上げを実施したためで、県流通・加工推進課は「輸送費の値上げの影響を勘案し、補助事業者への負担を検証する」と理由を説明した。

 県は18年度の当初予算案で、17年度とほぼ同額の27億8284万円を計上した。要綱の再改定について県は郵送などで事業者に説明している。県は事業者の自立促進のため、一部品目で航空輸送より料金が安い船舶輸送へ輸送方法の変更を促すなど取り組んできた。事業が終了する22年度以降の対応は決まっておらず、県は「事業の効果検証を進め、財源の有無や効果を高める見直しを検討したい」とした。

 農産物流通条件不利性解消事業は、県外への出荷費用が鹿児島県と同等になるよう輸送費を補助し、県産農産物の販路拡大や競争力強化を目的に実施。事業は12~21年度の10年間で実施され、沖縄振興特別交付金(一括交付金)を活用している。品目や地域により航空で重量1キロ当たり60~145円、船舶で同10~35円が補助される。県は昨年9月の要綱改定で、18年度から補助基準額を航空輸送で毎年10%、船舶で同5%ずつ段階的に引き下げることを決めていた。

 事業を利用した出荷量は12年度の2万2985トンから16年度は約2・7倍に増え、15年度の経済波及効果は196億円だった。