宜野湾市民、複雑な思い交錯 普天間の運用停止期限まで1年


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
所属機のトラブルが相次いでいる米軍普天間飛行場=10日、沖縄県宜野湾市

 国が沖縄県と約束した米軍普天間飛行場の「5年以内の運用停止」期日まで18日で残り1年となった。同飛行場を抱える宜野湾市の住民らは相次ぐ米軍機事故に「運用停止を実現してほしい」と望む一方、政治に翻弄(ほんろう)されて期日通りの実現を疑問視する声もあった。名護市辺野古への移設という当初なかった条件を主張する政府に複雑な心情をのぞかせた。

 17日夕、市内の商業施設で買い物をしていた市普天間在住の女性(37)は「米軍機事故が怖い」と話し、運用停止の実現を求めた。昨年12月の普天間第二小米軍ヘリ窓落下を受け、5歳の娘が通う保育園でも外での遊びが制限された。一方で「半分は諦めている。これまでも県民の声は届かなかった」と肩を落とした。

 普天間飛行場に隣接する公園ではサッカーの練習に励む子どもたちや遊具で遊ぶ親子連れの姿があった。ウオーキングしていた上原典男さん(66)=市愛知=は「今さら期日が迫っていると言ったって、辺野古での移設工事が進まないと仕方がない。遅らせている県政や市民団体には不満がある」とため息をついた。米軍機事故の頻発に危機感が募らせる。「早く危険性を除去してほしい」

 公園で小学校3年と1歳の子を遊ばせていた女性(37)=市愛知=は「県内移設は嫌だ」と断言した。市野嵩出身で、両親は軍用地主だ。「両親も普天間の返還を望んでいる。しかし、同じ思いをさせるかと思うと、辺野古には持っていかないでほしい」と県外移設を訴えた。

 「運用停止は自分が生きている間にはないだろう。約束は守られない」。会社員の男性(63)=市宜野湾=は声を落とし、普天間第二小に通う孫の身を案じる。県外移設を望む一方で「県外の自治体はどこも受け入れない。すぐに県外移設はできない。街のど真ん中と海上では安全性が違う」と辺野古への移設を求めた。