東大野球部が島守の塔慰霊 先輩の島田元知事しのぶ


この記事を書いた人 志良堂 仁
先輩に当たる島田叡元知事が刻銘されている島守の塔を参拝した東京大野球部の部員ら=25日、糸満市摩文仁の平和祈念公園

 沖縄戦時に県知事を務め、「沖縄の島守」として知られる島田叡(あきら)氏の功績を学ぼうと、東京大学野球部の部員19人が25日、糸満市摩文仁の平和祈念公園内にある島守の塔を参拝した。島田氏は東京帝国大学(現・東大)の野球部出身。後輩に当たる部員らは「東京大学」の文字が刻まれた野球ボールを手向け、冥福を祈った。

 島田氏は米軍の上陸が迫る沖縄に「官選知事」として赴任し、県民の安全や食糧確保に奔走した。激戦のさなかに摩文仁で消息を絶ち、県職員と共に島守の塔に刻銘されている。

 東大野球部は2015年から毎年、沖縄キャンプを行っており、島守の塔の参拝は今回で4回目。島田叡氏事跡顕彰期成会の嘉数昇明会長(75)も同伴し、「島田さんは県民の先頭に立ち、逃げずに県民と運命を共にした。その生き様の背景には、野球のフェアプレー精神があった」とあいさつした。

 3年生で副将の三鍋秀悟さん(22)は「僕らが島田さんの立場だったら、同じ決断ができたかどうか。今後の人生において先輩の決断力を見習いたい」と話した。部員らは島守の塔に先立ち、島田知事が一時期避難していた轟の壕(糸満市伊敷)も訪れた。【琉球新報電子版】