陸自弾薬庫に反対意見多数 宮古島保良で防衛省が説明会


社会
この記事を書いた人 志良堂 仁
保良鉱山への陸上自衛隊弾薬庫の整備へ向けた住民説明会に参加する人々=25日、宮古島市城辺の保良公民館

 【宮古島】宮古島市への陸上自衛隊配備で市城辺の保良鉱山に弾薬庫の設置を計画している防衛省は25日、保良の住民に向けた説明会を保良公民館で開催した。保良住民を中心に約70人が参加した。防衛省は地対空・地対艦ミサイルを保管する弾薬庫施設の安全対策を強調した。集落と鉱山の距離が約200メートルしか離れていないことから、有事の際に攻撃対象になることや観光地としてのイメージに悪影響を与えるとして、反対する意見が大多数の住民から相次いだ。一方、近隣への隊員宿舎などの整備を条件に配備を容認する声もあった。

 防衛省は市上野の旧ゴルフ場に警備部隊や地対空・地対艦部隊が入る駐屯地を建設している。その上で駐屯地に収容しきれない弾薬庫を保良鉱山に整備することを計画している。同市に計700~800人規模の部隊を配備する予定だ。
 沖縄防衛局は、周囲がコンクリートで覆われた弾薬庫のほか、小銃などの射撃訓練をする長さ約300メートルの覆道射場、隊員が訓練をするグラウンドなどを施設内に整備すると説明した。
 伊藤晋哉企画部長は「(鉱山は)一定の面積があり、既に開発された低いくぼ地であることから、周辺への影響が極小化できると考えた」と選定理由を説明した。「自衛隊も火薬類取締法令の規制の下に弾薬庫を設置する。安全性は万全の措置を講じる」と強調した。施設全体の面積やミサイルの保管量は明かさなかった。
 住民からは「観光地としてのイメージが悪くなる。有事の際には逃げる場所がない。自衛隊がいるから攻撃される」「最低限、集落から離れた場所に造ってほしい」などといった反対意見がほとんどを占めた。
 一方、保良出身の砂川辰夫・宮古島市議は「(弾薬庫のそばに)隊員家族向けの宿舎やコミュニティー機能を持つ施設を造ってほしい」と述べ、条件付きで容認する立場を示した。伊藤企画部長は前向きに検討する姿勢を見せた。
 地元住民らによる「ミサイル・弾薬庫配備反対住民の会」の共同代表の平良長勇さんは「地域の声は届かない一方的なものだ。反対の輪を広げたい」と怒りをにじませた。【琉球新報電子版】