識名トンネル訴訟 沖縄県再び敗訴 元部長らに7000万円請求


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 国の補助金を不正受給した沖縄県の識名トンネル建設の虚偽契約問題で、国への補助金返還額のうち利息分の約7178万円を当時担当した元県幹部らに返済させるよう求めた住民訴訟の控訴審判決が1日、福岡高裁那覇支部で言い渡された。多見谷寿郎裁判長は元県土木建築部長と元県南部土木事務所長の2人に重大な過失があったとして利息分を請求するよう県知事に命じた一審那覇地裁判決を支持し、県側の控訴を棄却した。

 判決を受け、県土建部の宮城理部長は「控訴審で県の主張が認められなかったことは残念だ」とするコメントを発表した。その上で「今後、判決内容を精査し、訴訟代理人弁護士と協議しつつ対応を検討したい」とした。上告については明らかにしなかった。

 判決は元県南部土木事務所長の赤嶺正廣氏が既に終わった工事の工期を偽った契約に積極的に関わり補助金の不正受給で県に損害を与えたと判断した。元県土建部長の漢那政弘氏に対しては、問題となった2件の契約のうち1件について予算執行伺の決裁権者であり、赤嶺氏の行為を阻止すべき注意義務があったと過失を認定した。

 住民側は仲井真弘多前知事も責任があると訴えていたが、一審で退けられ控訴しなかったため、二審で審判の対象にならなかった。

 識名トンネル住民訴訟原告団の内海恵美子団長は「事案の悪質性を直視した極めて妥当な判決だ。県知事は県が被った損害を速やかに補てんすべく賠償請求するよう求める」と訴えた。

 県が上告せずに判決が確定した場合、県は確定から60日以内に漢那氏と赤嶺氏に損害金の支払いを請求しなければならない。