支援応え未来ひらく 視覚障がいの東江祐飛さん 夢かなえるため大学へ


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豊見城南高校を卒業し、新たな一歩を踏み出す東江祐飛さん(中央)と母・紀美さん(右)、父・誠治さん=1日、豊見城市の同校

 沖縄県内各高校で卒業式が行われた1日、晴れやかな青空の下で卒業を祝い合う卒業生の中に東江祐飛さん(18)の笑顔があった。東江さんは右目は全盲で左目は弱視と視野狭窄(きょうさく)がある。両親が「学校全体でサポートしてくれた」という豊見城南高校の普通科特進コースを巣立ち、4月から聴覚・視覚障がい者のための教育機関である筑波技術大学(茨城県)に進学する。「高校は楽しかった。新しい生活も頑張らなきゃ」と笑顔を見せた。

 東江さんは小、中学校ではいじめに遭ったという。「盲学校に行った方がいいのかもしれないと思うこともあった」と母の紀美さん(43)と父の誠治さん(44)。中学で出会った理解ある教師が東江さんの力を引き出して普通高校の受験を後押し。合格した豊見城南高校に情報を引き継ぎ、同校は「全校体制で」と支援体制を固めた。

 同校では保護者や盲学校の教員も一緒に情報を共有し、対応の検討を重ねた。サポートの支援員が付き、県の支援事業で借りたiPad(アイパッド)を使って教科書のデータ化や授業の録画をした。教諭陣はプリントの文字を拡大し、板書の色なども見やすくして授業を行った。

 東江さんの夢は、教員免許の取得と、就業体験で感銘を受けた大手広告代理店への就職だ。「みんなに元気を与えられるような仕事をしたい」と語る息子の巣立ちに、両親は感無量の涙を浮かべた。