沖縄核貯蔵提案「説得力ある」 米議会聴取に秋葉外務次官、09年に発言  メモ存在も本人は否定


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
2009年2月に米議会の戦略態勢委員会が意見聴取した際の概要メモ。沖縄かグアムへの核貯蔵施設建設について問われ、秋葉剛男公使は「そのような提案は説得力がある」と答えたと記されている

 【ワシントン=座波幸代本紙特派員】オバマ前米政権の核戦略指針「核体制の見直し(NPR)」策定に向け、米連邦議会が設置した戦略態勢委員会(委員長・ペリー元国防長官)が同盟国の意見聴取をした際、在米日本大使館の秋葉剛男公使(当時)が沖縄での核貯蔵施設建設について問われ、「説得力がある」と肯定的な姿勢を示していたことが分かった。

 米国の科学者らでつくる「憂慮する科学者同盟」のグレゴリー・カラキ上級アナリストが入手した同委員会のメモで判明した。カラキ氏は、名護市辺野古への新基地建設と米軍辺野古弾薬庫の再開発を挙げ、沖縄への核兵器の再持ち込みに警鐘を鳴らしている。

 意見聴取は麻生政権当時の2009年2月に行われた。秋葉氏は今年1月に、外務事務次官に就任している。秋葉氏は5日、外務省で「そんなことは言わない」と述べ、意見聴取での発言を否定した。

 メモによると、秋葉氏は、同委員会のシュレジンジャー副委員長(元国防長官)の「沖縄またはグアムへの核貯蔵施設建設について、日本はどうみるか」という質問に対し、「そのような提案は説得力があるように思う」と答えている。

 また、秋葉氏が委員会に提出した書面には、米国に小型核保有などを促す要望があり、その趣旨に沿った内容が今年1月にトランプ政権が発表したNPRに含まれている。河野太郎外相はNPRを「高く評価する」と表明し、安倍政権が支持していることから、カラキ氏は「米国の核兵器を沖縄に保管できるように両国が合意した可能性を調査する必要がある」と指摘している。

 辺野古弾薬庫や嘉手納弾薬庫には過去に核兵器が貯蔵され、沖縄返還交渉の過程では、沖縄への核再持ち込みを認める密約が結ばれた。また、14年の海兵隊の「自然資源・文化資源統合管理計画」には、「新たな任務」への対応のため、キャンプ・シュワブと辺野古弾薬庫の再設計・拡張を明記。13の弾薬庫を解体し、12の新たな弾薬庫と武器の組み立て区画設置を想定している。昨年11月の日米合同委員会でその一部の4棟の解体に合意。日本政府が約20億円を負担し、年内にも建て替え工事が始まる見込みだ。