タクシー運休 村民困った 伊江島交通 経営難で日中時間帯


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日中、運休している伊江島交通のタクシー=8日、伊江村

 【伊江】伊江島唯一のタクシー会社「伊江島交通」が2月1日から、運転手不足と経営難を理由に日中の運行を休止している。車を持たない高齢者が通院や買い物など“生活の足”として利用しており、村民生活に支障が出ている。8日の村議会一般質問で、村議3人が運休解消に向け村の支援を求めた。島袋秀幸村長は「4月1日からの再開を目指し、行政支援を検討する」としているが、民間企業への直接支援に慎重な意見もあり、再開のめどは立っていない。

高齢者「病院行けない」

 伊江島交通の従来の運行時間は午前7時~翌午前2時だったが、午後6時~翌午前2時となった。3日前までに予約があれば日中も対応している。伊江島交通の仲宗根清仁取締役によると、同社の所有車両は5台。最多で10人の運転手がいたが、現在5人しかおらず、日中の勤務シフトが組めない。従来から日中の運行は赤字状態で、夜間の売り上げで補填(ほてん)してきたが、夜間の売り上げも落ちてカバーできなくなったという。

 仲宗根取締役は「村が直接的な財政支援を続けるのは難しいと思う。人材不足や財政面なども含め長期的に考えると乗り合いタクシーの導入が必要だ」と話す。

 伊江村老人クラブ連合会の宮里徳宏会長は「車がない高齢者にとって死活問題だ」と指摘する。「病院に行きたくても行けない。子と同居していても仕事を終えて帰宅する夜間には病院の診察時間も終わっている。早く何とかしてほしい」と訴えた。

 問題は村内だけにはとどまらない。村には年間3万5千人の観光客が訪れる。観光協会の松山正浩事務局長は「4月には伊江島一周マラソンやゆり祭りもある。レンタカーはあるが、免許がない人もいる。観光客への対応も考えないといけない」と話した。