高江米軍ヘリ炎上、土壌に微量放射性物質 基準超の発がん性物質も


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事故機の残骸を回収するトラックの周辺で土壌調査をしているとみられる県環境部と沖縄防衛局の職員ら=2017年10月20日、東村高江

 昨年10月に東村高江の牧草地で発生した米軍ヘリ炎上事故を受け沖縄防衛局は9日、現場周辺で実施した環境調査について1地点で基準値を超える発がん性物質ベンゼンが検出されたため、土壌の入れ替え工事を実施すると公表した。土壌と水からは微量の放射性物質ストロンチウム90も検出された。土壌については、事故機の直下で周辺より高い数値が検出されたため、防衛局は「事故由来のものと推測される」との見解を示した。しかし、環境放射線の専門家からは「人体や環境への影響はないと考えられる」との見解を得たことも強調した。

 防衛局は昨年10月から11月にかけ事故現場周辺で土壌(14地点)、水質(3地点)について放射性物質の有無を含め調査した。ストロンチウム90については土壌から1キロ当たり最大17ベクレル、水から1リットル当たり2・7ミリベクレルが検出されたが、いずれも全国平均値を上回る数値ではなかったと発表した。ただ事故機周辺の土壌については米軍が事故直後に現場から大量に土を搬出しているため、調査の精度に疑問が残る。

 防衛局から9日、調査結果の説明を受けた地主の西銘晃さん(64)は少量の残土からでも有害物質が検出された事態を憂い「米軍が採取した土の行方が分からない。仮に北部訓練場内でいい加減な処理をされていたら、福地ダムの流域から有害物質が流れ出る可能性もある」と懸念した。