保護費返還一部取り消し 沖縄県、那覇市に通知 奨学金収入認定


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 那覇市が、生活保護を受けていた40代女性の娘2人の貸与型奨学金を収入と見なし、女性に生活保護費約93万円の返還を求めていた問題で、県は9日までに長女の奨学金に関する返還処分の取り消しを裁決し、市に通知した。次女に貸与された奨学金に関する審査請求は棄却した。

 5日付の裁決書では、奨学金の収入があった時点で市が調査しなかったこと、長女から奨学金の貸与資格を得たとの報告を受けた際に収入認定除外について説明した様子がうかがえなかったこと、奨学金の償還手続きの履行確認を市が怠ったことを指摘。「不適正な対応で満額受領後に費用返還処分を行った結果、多大な負担となる金額に返還額を拡大させた」として長女の奨学金に関する返還取り消しは相当とした。一方、次女については(奨学金を受ける)女性が相談や事後報告をしていなかったことを「届け出義務に違反する重大な瑕疵(かし)」とした。

 那覇市の長嶺達也福祉部長は「県の裁決に従い(長女の分の)返還処分の取り消しをしたい」と述べた。

 奨学金の収入認定を巡っては、市が2015年に女性に奨学金全額の約100万円を返還要求。女性が審査請求し、県が市の処分取り消しを裁決した。16年に市が奨学金全額から7万7千円を減額して返還要求。女性が再び審査請求をしていた。県行政不服審査会は2017年10月31日付で、長女の奨学金の返還処分取り消しは相当とする答申をしていた。