「音声」即「字幕」サービス拡大 教育・学術の活用視野 アイセック、丸善と契約


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 聴覚障がい者らを対象に、音声を文字にして届けるサービスを提供するアイセック・ジャパン(沖縄県うるま市、一瀬宗也社長)は、書籍販売大手の丸善雄松堂(東京)とリアルタイム字幕サービス「e―ミミ」の販売代理店契約を結んだ。講演会やセミナーでの発言を同時進行で字幕にして流すサービスをはじめ、日本語の聞き取りに不安のある留学生向けに講義の内容を文字でも表示する学習支援など、教育・学術市場での活用を視野に入れている。

 アイセック・ジャパンは名桜大や筑波技術大などの教育機関や福井県議会、佐賀県武雄市議会にリアルタイム字幕サービスを提供している。全国の大学や行政にネットワークを持つ丸善雄松堂が販売に携わることで、学習基盤整備のさらなる拡大を期待している。

 「e―ミミ」は大学講義やセミナー、講演会などの会場の音声を携帯電話でうるま市の入力センターにつなげ、専門オペレーターが文字化し、ウェブ上に字幕として即時に配信する。会場でのスクリーン表示のほかタブレット端末での閲覧ができ、日本語だけでなく英語音声の字幕表示にも対応している。

 字幕はテキストデータとして保存されるため、聴覚障がい者の支援だけでなく、学習の振り返りや講義出席者以外へのテキストデータの配布といった教材化、講義録や議事録作成としても活用できる。

 丸善雄松堂図書館サービス事業部は「音声認識技術による自動の字幕化に比べて精度が高く、大学や研究機関向けに新規事業として紹介していきたい。聞こえに不安のある高齢者の学び直しにも有効なサービスだろう」と説明した。

 アイセック・ジャパンの一瀬社長は「聴覚障がい者以外にも利用者が広がることで、情報保障のサービスを浸透させられる。少子化の中で各大学でも留学生の受け入れが増えており、学習サポートの差別化にもつながる」と期待した。