車いすの津波避難、訓練重ねる 「ぼうさい賞」の泡瀬特支校、地元企業も協力


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津波避難訓練に協力している太田建設の太田美範社長(前列右から4人目)らに対する感謝状贈呈式。同3人目は真喜屋祥子校長=8日、沖縄市の泡瀬特別支援学校(提供)

 沖縄県沖縄市の泡瀬特別支援学校(真喜屋祥子校長)がこのほど、防災教育や防災活動に取り組んでいる学校などを表彰する「ぼうさい甲子園(1・17防災未来賞)」(毎日新聞社、兵庫県、ひょうご震災記念21世紀研究機構主催)の津波ぼうさい賞を受賞した。肢体不自由のため車いす生活の生徒が95%を占める同校では「いざという時に、教員、子どもたちがすぐに動ける体制が大事だ」として、地震・津波の際にいかに安全に避難するかをシミュレーションした避難訓練に日頃から取り組んでいる。

 泡瀬特別支援学校は、約600メートル先に中城湾があり、海抜は10メートルにも満たない。約130人の生徒に対して職員数は約130人。大型の車いすの生徒の避難は数人の補助が必要となるため、津波発生時には避難場所と学校の間を職員が往復することが想定される。

 同校は年複数回の訓練に加え、NPO法人防災サポート沖縄などから講師を招き、職員の研修会もこまめに開いている。8月の夏休み期間には、児童生徒に見立てた段ボール箱を避難場所に搬送する訓練をした。

 同校安全指導部の山城郷土教諭は「訓練を一過性のものではなく、継続できる形にしていくことが大切だ」と語る。

 職員だけではなく保護者も巻き込んだ防災意識の向上を図っている。運動会にもTシャツと竹さおを使った簡易担架でのリレーを取り入れるなど、ゲーム感覚で学べる防災訓練を取り入れた。

 避難訓練では学校近くにある建設会社、太田建設の協力を得ている。真喜屋校長「学校だけではなく、地域ぐるみの防災システムが何よりも重要。太田建設の存在は本当に心強い」と話す。

 訓練は当初、別の避難場所を想定していたが、大きな道路を挟んでの移動となるため困難があった。そこで太田建設に避難場所の提供を依頼したところ、同社が快諾したという。同社は、水や非常食だけでなく簡易トイレやおむつなどの備蓄品も備えている。

 同校は8日、太田建設の太田美範社長と平識善和営業部長を招いて感謝状を贈呈した。太田社長は「今後もぜひ協力していきたい」と述べた。真喜屋校長は「県内では防災に関する意識がまだ高くない。地域との協力も含め、取り組みの輪が広がってほしい」と期待した。