「この体でよかった」 伊佐さん、障がいへの思い語る


社会
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自作の詩「本音」を読み上げる伊佐重紀さん=14日、那覇市寄宮の南部療育医療センター

 先天性の脳性まひがあり、糸満市阿波根の障がい者支援施設「ソフィア」を利用する伊佐重紀さん(29)は14日、那覇市寄宮の南部療育医療センターで自身の体験について語った。「この体に生まれてきてよかった。自分のことが好きだ」。医療関係者や当事者とその家族約40人が参加し、伊佐さんの体験を通して障がいについて考えた。

 講演会で伊佐さんは福祉を学ぶ学生向けの講演を行ったり、自身がベッドに寝て生徒に介助させる体験などの活動をしたりしていると報告。「自分を通し障がい者を知ってもらい、少しでも明るいイメージに変えていってほしい」と活動への思いを口にした。

 伊佐さんは、自分とは違う障がいがある人に対し差別や偏見を持っていたことを明らかにし、「外に出ていく機会が増え、もっと他の障がいについて知りたいと思うようになった」と語った。

 講演会では、自身の障がいのことや生きることへの思いをつづった自作の詩を披露した。参加者の中には涙を流し見入る人の姿もあった。

 昨年7月に神奈川県相模原市で起きた障がい者殺傷事件については「犯人の身勝手な言い分を聞いて涙した。一生懸命、ぼくらは生きている」と声を震わせた。伊佐さんは「周りにいる人は障がいがあるからこそ出会えた。この体に生まれてよかった」と力強く語った。