若年子育て女性 困窮 雇用、家庭環境厳しく 支援団体が県内調査


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄の子どもの貧困や孤立を解決するために活動する団体やNPOを支援する「沖縄まちと子ども基金」(公益財団法人みらいファンド沖縄主催)の第3回助成団体報告会が23日、那覇市の天久ヒルトップで開かれ、助成2団体が調査結果や事業成果を報告した。琉球大の上間陽子教授と「しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄」の秋吉晴子代表は、19歳以下で出産した45人に聞き取り調査をした結果を報告。結果からは若年で出産した女性が非正規雇用や養育費がもらえないなど経済的に困窮する厳しい環境の中で子育てをしている実態が浮き彫りとなった。

2団体が調査や事業結果を報告した「沖縄まちと子ども基金」の第3回助成団体報告会=23日夜、那覇市天久

 調査は2017年2月から産婦人科医や風俗店オーナーなどから協力を得て、現在の仕事や初めて就いた職、生まれ育った家庭環境や現在の家庭、子育て状況などについて聞き取りした。

 初めて就いた職業について、44人のうち28人がガールズバーやキャバクラなど18歳未満での就労が法律で禁止されているところで働いていた。14~15歳で性風俗店に勤務していた女性もいた。現在の職は専業主婦が16人で最も多く、非正規雇用も多かった。未婚は9人で、うち6人は認知がなかったほか、相手にDNA鑑定に応じてもらえなかった女性も1人いた。

 報告会では、幼い頃にきょうだいを育てた保育経験のある女性、親が支援している女性など、女性の置かれた環境ごとに聞き取りした内容を語った。それぞれの事例から、仕事の安定と実家の援助、見守り体制ができていると、比較的安定して生活していることが明らかとなった。

 上間教授は沖縄の特徴として、家族やパートナーに出産することを拒絶された人が少ないことを挙げた。その上で「出産を前提にしたときに具体的な支援を得られるのかが鍵」と話し、経済的な安定には、周囲の支援が必要だとの考えを語った。秋吉代表は「ある層からは全く見えない、想像ができない(ほど厳しい生活状況に置かれた)層が存在する。この層がなくなるのか、厚くなるのか。今しっかり取り組まないといけない」と話した。

 一般財団法人ダイモンの糸数温子さん、琉球大の野入直美准教授は助成を受けて進めた同大の授業「はたらくつながる社会学」について報告した。子ども支援や街づくりに取り組む団体での現場実習を通して、学生自身が働くことを考えた実例などを語った。