【東】昨年10月に沖縄県東村高江の牧草地で発生した米軍ヘリ炎上事故で、沖縄防衛局は今月から、基準値を超える発がん性物質ベンゼンが検出された現場土壌の入れ替え作業を始めている。防衛局の調査で、現場の土壌と水からは微量の放射性物質ストロンチウム90も検出されている。
防衛局から説明を受けた地主の西銘晃さん(64)によると、土壌入れ替え作業は当初、2月中旬から始まる計画だったが、雨など天候の影響で1カ月ずれ込み、13日から始まった。4月中に作業を終える予定だ。
300立方メートルの土壌を入れ替えなければならず、うちベンゼンの濃度が高い50立方メートルは大阪府の業者に引き渡し、残りは糸満市の業者に引き渡し処分するという。
西銘さんは「耕してきた土が運び出され、本当にもったいない」とこぼし、「梅雨に入ると牧草の植え付けが難しく、4月を逃すと、半年待たないといけない。せめて4月中に終わらせてほしい」と話した。
沖縄防衛局は昨年10月~11月にかけて事故現場周辺で土壌(14地点)、水質(3地点)について放射性物質の有無を含め調査した。ストロンチウム90については土壌から1キロ当たり最大17ベクレル、水から1リットル当たり2・7ミリベクレルが検出された。土壌からは事故機の直下では周辺より高い数値が検出されたため、防衛局は「事故由来のものと推測される」としている。
防衛局は、検出された数値や量について環境放射線の専門家から「人体や環境への影響はないと考えられる」との見解を得たとしている。