新庁舎予算39億円削除 石垣市議会、野党など「予算膨大」 工事スケジュール 影響も


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 【石垣】石垣市議会(知念辰憲議長)は3月29日の3月定例会最終本会議で、市役所新庁舎建設費用約39億852万円を削除した2018年度一般会計予算案の修正案を野党・中立の賛成多数で可決した。市は18年内に新庁舎建設の着手を目指していたが、建設費用が予算から削除されたため、現状では工事請負契約が結べず、新庁舎建設のスケジュールに影響を与える可能性がある。

 野党・中立の市議らは、現在の新庁舎建設計画について「膨大な予算と維持管理を考慮すると今後多額の市民負担が生じる」として、建設費用を削除する修正案を提出していた。

 新庁舎建設を巡っては、中山義隆市長が3選した3月の市長選で、保守系の新人候補が同規模の自治体の建設費を大幅に上回るとして設計見直しを公約に掲げていた。修正案には、保守系新人候補を支援した保守系市議4人を含む11人が賛成。与党10人が反対した。

 新庁舎は旧石垣空港跡地に建設する計画で、20年夏ごろの完成を予定している。市は既に建設予定地の購入を済ませている。一方、資材や人件費の高騰などで建設費は現在約77億円と算出されており、13年度の基本構想で試算された約50億円から大幅に上昇している。市は借入額の70%の地方交付税が措置される緊急防災減災事業債を活用するとしており、実質負担額は約48億円を見込んでいる。

 野党・中立会派を代表し修正案を提案した長浜信夫市議は「計画を精査し、予算削減を求めていく。その浮いた予算を教育支援の現場に配分することを求めたい」と述べた。

 新庁舎建設費を削除した修正案が可決されたことに、中山市長は報道陣に対し「特別委員会でも議論を重ねてきており、この期に及んでの(建設費)カットは、完全に市長選の意趣返しとしか思えない」と、野党・中立の対応を批判した。

 また中山市長は、緊急防災減災事業債の適用期限が20年度末となっていることから「これから設計をし直すと、(適用)期限内には間に合わない。消費増税の影響など、先延ばしすると市民負担が大きくなる可能性がある」と指摘した。その上で「予算執行に当たっては縮減に努めていくと説明し、(野党・中立に)理解を求めたい」と述べ、補正予算に建設費用を計上したいとの考えを示した。