「4・3」犠牲者を追悼 沖縄県済州会「沖縄と共通点」


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「4・3事件」の犠牲者追悼式で、式典の様子を見つめる県済州会メンバーら=3日、韓国・済州島

 【済州島で前森智香子】3日、韓国・済州島の済州4・3平和公園で開かれた「4・3事件」追悼式には県済州会のメンバーらも出席し「米軍政下に置かれた歴史など、沖縄との共通点も多い」と、悲惨な事件の痛みを共有した。

 4・3の犠牲者は3万人とも言われる。公園には、そのうち約1万4千人分の名前が彫られた刻名碑が並ぶ。多くの遺族が花や果物を供え、手を合わせた。県済州会の大城貴代子会長(78)ら17人は「平和の礎に似ている」「慰霊の日のようだ」と口をそろえた。式ではモニターを見つめ、黙とうを捧げた。

 日差しが照りつける中、文在寅大統領の演説に聞き入っていたのは、嘉手納町出身で済州大学に留学中の渡口貴乃さん(20)。「沖縄戦も4・3も、次世代にどう伝えていくかに関心がある。式を見て、学ぶ意欲が高まった」と話した。

 式典後、県済州会の安次嶺悦子さん(70)は「平和貢献には、歴史への理解が大切だ。同じような悲劇を体験した島の者として、身近なところから事実を伝えていきたい」と継承を誓った。

 旅を企画した新垣安子さん(71)は「真相究明への期待の空気が感じられた。そういう日に沖縄の人たちが出席できて良かった」と話した。