2回の予防接種 有効 はしか流行 乳幼児に注意


この記事を書いた人 琉球新報社

 県内の麻疹(はしか)患者の発生が止まらない。3月下旬に2014年以来の患者が確認されてから、わずか2週間ほどで18人の感染が判明した。乳幼児がかかって重症化すると死亡するケースもあり、県は子どもへの対応を強調する。1歳と小学校就学前の定期予防接種対象者は、早めにワクチンを受けるよう呼び掛けている。

 はしかは感染後、10~12日の潜伏期間を経て、発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れる。発症直後は発疹はなく、はしかだと分かりにくい。2~3日熱が続いた後、39度以上の高熱と発疹が出る。

 感染力が非常に強く、空気感染することも特徴だ。さらに、症状が出る1日前から周囲の人へ感染させる可能性がある。手洗いや通常のマスクだけでは防げず、2度の予防接種が最も有効とされる。県によると、特に1977~90年生まれの人は1度しか予防接種を受けていない可能性が高いという。感染が拡大する中、県は厚生労働省と掛け合い、ワクチンを安定供給できるよう調整した。

 これまで確認された患者18人は0歳~40代の男女。発端は3月17日に台湾から観光で訪れた30代男性だった。モノレールやレンタカーを使い、那覇市や糸満市、北谷町、名護市など広範囲を移動。その後、はしかの感染が発覚した。

 男性が利用したホテルの宿泊者や飲食店従業員に感染は次々と広がった。男性が訪れたとみられる大型商業施設で感染したと推測されるケースも複数ある。また、県内に住む40代の男性患者が、発症した3月26日に那覇空港を訪れていたことも判明。県は患者と接触した人は多いとみる。

 県内では1999~2001年のはしか流行時に、乳幼児9人が亡くなった。県保健医療部の糸数公保健衛生統括監は「大人は重症化しにくいが、周りに乳幼児がいるとうつす可能性がある。子どもを守るという視点が大切だ」と話した。

 今後も発生の継続が予想されるため、県地域保健課は発生状況をインターネット上に掲載している。
 URLはhttp://www.pref.okinawa.jp/site/hoken/chiikihoken/kekkaku/mashin.html