不発弾の爆破 移動し実施へ 今帰仁沖、ジュゴンに配慮


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鉄製の容器で保管されている不発弾=今帰仁村運天のウッパマビーチ沖(村提供)

 【今帰仁】2016年8月に沖縄県今帰仁村運天のウッパマビーチ沖で見つかった不発弾11発(米国製3インチ砲弾)について、村は付近を回遊する絶滅危惧種のジュゴンへの影響を避けるために、当初予定していた場所から移動させて水中で爆破処理する方針を固めた。村担当者は爆破処理する海域や時期について「近隣ホテルや漁協、市民団体と協議し調整していく」と話した。

 不発弾は直径80ミリで、長さ250ミリ。ダイビング中の観光客が発見した。村の担当者によると、当初は発見場所での爆破を予定していたが、17年末に市民団体からジュゴンへの影響を配慮するよう要望書が提出されたため、陸上処理を検討した。だが、処理を担当する海上自衛隊から「海中から陸上に移すことで環境の変化により暴発を招く可能性がある」などと回答があり、断念した。

 村はウッパマビーチ沖の不発弾のほか、沖縄戦で古宇利島沖に沈没した米掃海艦「エモンズ」から17年1月に見つかった不発弾6発についても処理対応を進めているが、難航している。発見現場での爆破処理を検討しているが、米国の遺族関係者が慰霊セレモニーを行っていることやダイビングスポットになっていることなどもあり、調整に時間が掛かっている。

 海自によると、見つかった不発弾は爆雷「マークナイン」(直径45センチ、長さ70センチ、重量は推定338キロ)とみられる。海自は「衝撃を与えると爆発する恐れがあり、移動させての処理は困難」とする。

 村は船体が破壊されることを想定し、沈没船の所有権について外務省や沖縄総合事務局、県など関係機関に問い合わせているが明確な回答は得られていない。