高畑氏 生前、沖縄に思い 辺野古新基地「日本全体が反対を」


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米軍キャンプ・シュワブのゲート前を訪れ、市民らと交流する高畑勲さん(右)=2015年12月6日、名護市辺野古

 「火垂るの墓」などを手掛けたアニメーション映画監督で5日、82歳で亡くなった高畑勲さんは生前、沖縄に寄り添う姿勢を鮮明にしていた。高畑氏は沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前を訪れ、「(新基地建設に)日本国民全体が反対しなければならない」と強調するなど直接、県民にメッセージを送ったこともあった。高畑さんの訃報を受けて6日、キャンプ・シュワブのゲート前では「沖縄に思いを寄せてくれていた。残念だ」などと惜しむ声が相次いだ。

 高畑さんは2015年12月、講演のため沖縄県に来県し、本紙などの取材に「沖縄と政府は裁判になっているが、(沖縄は)当然のことをしている。私としては全部支持する」と述べていた。その足で沖縄県東村高江とキャンプ・シュワブのゲート前を訪れ、「本土の人間として、さらに考えないといけない時期に差し掛かっている」と語った。

 ゲート前では6日も朝から、市民約40人が新基地建設に抗議し、資材の搬入を阻止しようと座り込んだ。高畑さんの訃報に接した金澤知成さん(63)=名護市)は「戦争が何をもたらすのか、これからも作品を生み出して欲しかった」。県統一連事務局長の瀬長和男さん(54)=浦添市=も「ゲート前に足を運んでくれて、『沖縄の状況はおかしい』との思いを共有できた。高畑さんの思いを多くの人に知ってもらいたい」と話した。

 高畑さんは生前、東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場のヘリコプター離着陸帯の建設に絡み、警視庁の機動隊員派遣は違法だとして、東京地裁に住民訴訟を提起するなどしていた。【琉球新報電子版】