沖縄市長選 立候補予定2氏政策比較〈中〉 暮らし・子育て 待機児童解消 重点に


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

子どもの貧困にも対策

 沖縄市の待機児童数は昨年4月1日時点で440人おり、県内市町村の中で最も多かった。同10月1日時点では501人に増えた。認可保育所などの定員は拡大しているが、働く女性の増加などで保育ニーズが高まっていることなどが解消に至らない要因だ。

 22日投開票の沖縄市長選に向け、立候補を予定している現職の桑江朝千夫氏(62)と新人で前市議の諸見里宏美氏(56)は、両氏とも待機児童問題への対応を重点政策に据え、独自政策を掲げている。

 桑江氏は認可外保育所の認可化などで「4年間で1663人分の定員を増やした」と実績を強調する。さらに定員を増やすほか、保育士確保のため、事業所が借り上げた宿舎への補助や保育職への復職祝い金10万円の給付をうたう。

 諸見里氏は「待機児童が500人を超え、県内最悪だ」と批判。認可外保育所の認可化のほか、認可外の給食費の補助を認可並みに引き上げると主張する。低賃金で定着せず、不足している保育士の待遇改善に向けた助成も導入する考え。

 子どもの貧困が社会問題化する中、子どもの居場所づくり政策も注目される。

 桑江氏は公設放課後児童クラブや児童館の整備を進める。若年妊産婦を対象とした妊娠、出産、育児に関する総合的な相談窓口の設置も掲げる。諸見里氏は障がい者や高齢者の施設、保育所などによる連携を支援することや、学童の待機児童解消を目指す。公共施設の開放も進める考え。

 教育環境の改善に向けては、桑江氏は全小中学校へ電子黒板を導入するなどして施設の改善を図り、教育を担う人材育成にも注力する。諸見里氏は少人数学級の導入や公立夜間中学校の設置を推進するほか、不登校児対策にも力を入れる。

 高齢化社会への対応では、両氏とも医療、介護、生活支援などを一体的に提供する地域包括ケアシステムの推進を掲げる。そのほか、桑江氏は高齢者の肺炎球菌ワクチン接種の全額補助や高齢者インフルエンザ対策を進める。諸見里氏は市内全域の循環バスの導入や共同生活を送るグループホームの整備推進を訴える。