平安山、沖縄県勢初OPBF女王 WBCユースは池間 ボクシング「MUGEN 挑」


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東洋太平洋女子バンタム級王者の平安山裕子(左)とWBC世界ユースライトフライ級王者の池間亮弥=8日、豊見城市民体育館(花城太撮影)

 ボクシングのOPBF東洋太平洋女子バンタム級王座決定戦が8日、沖縄県の豊見城市民体育館で行われ、平安山裕子(平仲)がファナルック・コンサング(タイ)に3―0で判定勝ちし、沖縄県勢女子で初のOPBF王者となった。

 「MUGEN 挑 vol.8」のW王座決定戦として行われた。メインの世界ボクシング評議会(WBC)ユース・ライトフライ級王座決定戦では、母親が宮古島市出身の池間亮弥(広島拳闘会)が、モンコル・カムソッマット(タイ)に3―0の判定で辛くも勝利して王座を戴冠した。

 平安山は序盤から相手の懐に入り、素早い連打を浴びせて主導権を握った。練習で培った豊富な体力で最終回まで、描いてきた展開に持ち込んだ。相手に反撃の機会をほとんど与えず判定勝利し、「技術はないけどスタミナと気持ちでつかんだ勝利です」と喜んだ。

◆豊富な体力、最後まで連打/「努力の虫」県勢初快挙

4回 ファナルック・コンサングに右ボディで攻め込む平安山裕子(右)=8日、豊見城市民体育館(花城太撮影)

 自慢の体力と強い闘争心で相手の懐に入り込み、拳をたたき込んだ平安山裕子が、見る者が納得する判定勝利で県勢初のOPBF女子王者の座に就いた。「あまり戦績も良くない中、平仲信明会長が試合を組んでくださり、トレーナーもあきらめず教えてくれた。そして、ファンの皆さんの『頑張れ』が自分を強くさせてくれました」と、会場と喜びを分かち合った。

 常に平安山が主導権を握った。探り合いの1回で踏み込む距離感をつかむと、2回から全開モードへ。オーバーハンド気味の右とともに急接近すると、頭を低く左右の連打へ。相手が反撃する中、上体を起こしつつ顔面連打につなげ、すぐ下がる。リーチのある相手に振り回させない距離で優位に進めると、豊富な体力で手も足も休むことなく最終回まで闘い続けた。

 「自分にあるのは体力と力だけ」と謙遜するが、日々の練習も合宿も男性ボクサーと同じ量をこなしており、平仲信明会長は「とにかくまじめで男以上に走り込んでいる」と、努力の虫を高く評価する。

 沖縄ファミリーマートで働きながら、2008年にダイエット目的で始めたボクシング。スパーリングで戦うことに目覚めたが、プロデビュー後は4回戦で負け込んでいた。勝利からも試合からも遠ざかる日々もあったが「好きでやっているから」と、手を抜かなかったという。

 長いトンネルを抜けたのは昨年1月の試合で勝ってから。「(自分が強くなる)やり方がわかってきた」と感覚をつかみ、負けなしで王座へと駆け上がった。「これからはベルトを守る側。研究されて追われる立場になるけど、常に挑戦者の気持ちで挑み続けたい」と、初々しい王者は少しはにかみながら語った。(嘉陽拓也)