障がい者の運転、助成廃止 西原町 福祉団体「就労に影響」


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 【西原】沖縄県西原町が財政難や利用者が少ないことを理由に、2018年度から「町障害者自動車運転免許取得費・改造費助成事業」を廃止した。県内では17年度時点で西原町を含む26市町村が同事業を実施しているが、実施自治体で事業を終了するのは県内で初めて。県脊髄損傷者協会は「障がい者の就労や社会参加に大きな影響を与えることになる。行政が助成を打ち切るのはおかしい」と反発している。

 西原町は就労者社会参加を促進することを目的に、身体障がい者の運転免許取得費や運転補助装置の設置費用の一部を助成してきた。15年度まで国50%、県25%、町25%の負担割合で実施してきたが、16年度から一般財源化された。県内では離島は実施していない自治体も多いが、本島では恩納村を除く全ての市町村が同事業を実施していた。

 利用者への助成費は1件につき上限10万円で、11年度1件、13年度2件、16年度1件の利用があったが、12年度、14~15年度、17年度は利用者がいなかった。

 町健康支援課は「町財政が厳しく、費用の大小にかかわらず事業を見直している。実績や必要性などを踏まえて判断した」とした。

 県脊髄損傷者協会の仲根建作理事長は「他の自治体が今後追随する恐れがあり、影響が大きい。障がい者団体などに事前に説明した痕跡がなく、福祉行政の在り方が問われる」と町の対応を疑問視した。その上で「車の運転などで障がい者が自力で移動できるかどうかは、就労や社会参加に大きく関わる」と指摘した。

 西原町身体障害者協会の宮平武副会長は「全く連絡がなく打ち切られたことに憤りを感じている。改造費用は30~40万円程度かかるので、助成は非常に助かっていた。需要がなくなることはないので、復活を求めていきたい」と話した。