争点・沖縄市長選(4)市の不祥事


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桑江氏―危機意識の徹底を 諸見里氏―話しやすい職場に

 

給食で欠けたスライサーの刃の一部が混入した、沖縄市越来の学校給食センター第2調理場

 沖縄市では昨年から、市民生活に不利益を与える不祥事が相次いでいる。

 昨年9月には、未徴収だった下水道使用料金の請求書が一部発送できていなかったことが発覚。315世帯分に当たる約391万円の時効が成立し、請求できなくなった。未徴収は2015年度に発覚しており、その後のチェック態勢が機能していなかったことが露呈した。

 昨年11月には、給食センター第2調理場が市内小学校に提供した給食に、調理器具(スライサー)から欠けた刃の一部が混入した。児童にけがはなかったが、問題が発覚した際、給食センターは学校に連絡して急きょ、給食を止める判断をしていなかった。

 給食への異物混入を巡っては、昨年10月に同調理場で食器洗い機の残さ受けのかごからネズミの死骸が見つかったほか、異物混入があった学校で同12月に食器の間に体長約1センチのゴキブリの死骸が挟まっていたことも発覚した。それぞれ県や保護者全体に報告しておらず、市議会や保護者らから多くの批判を受けた。異物混入は今年に入ってからも発生している。

 その他、昨年11月には酔って屋外で寝た職員が、個人情報40人分が入ったUSBメモリーを無許可で持ち出し紛失した。

 こうした事態に、職員の意識を改革する必要性を指摘する声が上がっている。不祥事を防ぐためのチェック態勢の構築や緊張感を保つための情報公開など、市民の信頼回復に向けた取り組みが急務となっている。

 この現状について、沖縄市長選に立候補を予定する現職の桑江朝千夫氏(62)と、新人で前市議の諸見里宏美氏(56)の両氏は、それぞれ組織の健全化を図る方針だ。

 桑江氏は「市職員は市民全体の奉仕者であることを再認識し、職員一人一人が内部チェック機能の強化などを通じ、法令順守や危機意識管理のさらなる徹底を図る」と主張する。

 諸見里氏は「職員の適正配置、臨時嘱託の待遇を改善する。メンタル療養や長時間勤務がないよう業務管理をチェックし、市長と職員が話しやすい職場環境をつくる」と訴えている。(おわり)
(沖縄市長選取材班)