〈解説〉観光目的税提言 自主財源の確保へ 受益者負担で課題解決


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 沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)が観光目的税の導入を提言した背景には、自主財源を確保して観光客の受け入れ基盤を整える狙いがある。2020年の東京五輪までは観光客数の増加が見込まれる中で、「できるだけ早期」(業界関係者)に目的税を導入し、新税導入の悪影響を抑える効果もありそうだ。

 世界水準のリゾート地形成に向けては、受け入れ基盤となるターミナルや二次交通、観光拠点などの整備にも継続的な投資が求められる。

 しかし、予算措置はそのときどきの行政の財政状況や国との関係に応じて増減してきた。観光に特化した自主財源を確保することで安定した投資を見通せる。

 県は観光目的税の導入を検討しているが、OCVBの平良朝敬会長は「市町村が先に観光目的税を導入すれば二重徴税の問題も出てくる」と懸念し、早期の導入を要望した。

 外国人客の急激な増加はレンタカーによる事故やごみの問題など、地域社会との間に摩擦も生んでいる。観光目的税の議論に携わった杉本健次JTB沖縄社長は「課題解決を進めるには財源が必要だ」と強調する。

 東京都や大阪府は宿泊税を徴収しているが、ホテルを使わないクルーズ船客や民泊客も受益者負担や税の公平性を確保する観点からは対象とすべきとの意見は強い。その徴税の仕組みづくりも課題となる。
(知念征尚)