データで見る市長選 超短期戦、2候補全力 支持拡大、知事選へつなぐ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【沖縄】22日投開票の沖縄市長選は、投開票まで残り5日となった。今選挙は新人で前市議の諸見里宏美氏(56)と、2期目を目指す現職の桑江朝千夫氏(62)の一騎打ちとなっている。両陣営は「超短期決戦」と位置付け、支持拡大を訴え奔走している。各政党は、それぞれ支援する候補者の勝利で、秋に予定される県知事選へ弾みを付けたい考えだ。過去の投票結果や投票率などのデータから沖縄市長選の特徴や傾向などを探った。

<勢力・対立図>「政治色」で濃淡

 諸見里氏と桑江氏、それぞれの推薦政党を見ると、翁長県政を支える「オール沖縄」勢力と、これまで県内の首長・国政選挙で保守系候補を推してきた政府与党との対立構図になっている。ただ、政党色を前面に出す桑江氏陣営に対し、諸見里氏陣営は「オール沖縄」の“色”を薄めた選挙戦を展開している。

 諸見里氏は社民や共産など「オール沖縄」を構成する政党などから推薦を受けた。15日の出発式では静養中の翁長雄志知事に代わり、富川盛武副知事が代理でマイクを握った。一方、暮らしや子育てなどに重点を置いて無党派層の取り込みを図る観点から「オール沖縄」や政党色を前面に出さない戦略も取る。市議9人が支援し、直接有権者に政策を訴える「どぶ板選挙」を徹底している。

 桑江氏は自民、公明から推薦を受け、安倍政権を支える国政与党から支援を受ける。国会議員が連日、沖縄入りして街頭演説に立ったり、企業・団体を訪問したりして組織票固めを進めている。16日には4年前の選挙で3回沖縄市入りした石破茂自民党元幹事長が街頭に立った。今年の南城、名護、石垣の市長選と同様に、維新からの推薦も得た。市議16人が支援し、地域回りに力を入れている。

<政党得票>両陣営、基礎票拮抗

 22日投開票の沖縄市長選は、翁長雄志知事を支える「オール沖縄」勢力が支援する諸見里氏と自公政権と維新が推す桑江氏が激しい舌戦を繰り広げている。直近に実施された昨年10月の衆院選(比例)の政党別得票数をみると、桑江氏を推薦する自民、公明、維新の得票数は、諸見里氏を推薦する社民、共産、希望の得票数を上回っている。ただ、同じく推薦政党の民進や社大の支持層もいるため、両陣営の基礎票は拮抗(きっこう)しているとみられる。

 2016年の県議選では、諸見里氏を推す県政与党県議の総得票数が「自公」県議の得票数を上回るなど、直近の数字では、オール沖縄勢力が優位の状況が浮かぶ。ただ、現在の市議会構成をみると、与党が多数を占めている。

 また、3月の石垣市長選や2月の名護市長選などの勝利で勢いに乗る自民や公明は連日、党幹部や知名度のある国会議員などを投入するなど攻勢を強めている。さらに、現職の強みを生かして有利に立ちたい選挙戦を展開している。

<投票率>勝敗ライン3万前後

 沖縄市長選は1990年以降、8年ごとに革新系候補と、保守系候補が交互に市政を奪い合う形が続いてきた。90年の市長選では革新系の新川秀清氏が、4期目を目指した保守系の桑江朝幸氏に3764票差をつけて下した。一方、新川氏が3期目を目指した98年の市長選では、保守系の仲宗根正和氏が当選。2006年には革新系の東門美津子氏が桑江朝千夫氏を破り、初当選を果たした。14年の市長選では、保守票や無党派層の票を着実に固めた桑江朝千夫氏が、東門氏の後継の島袋芳敬氏に2189票差をつけて勝利、市政を奪還した。

 前回14年の投票率は57・73%だった。沖縄市長選で過去最低だった10年の51・03%を6・7ポイント上回った。ただ、02年の市長選以降、投票率は50%台を維持してはいるが、低下傾向にある。今回の選挙について両陣営は「超短期決戦」としており、前回の投票率約57%を下回るのではないかと不安視する声も上がっている。

 勝敗ラインは3万票前後と推定され、両候補は無党派層や支持者の基礎票固めに奔走しており、投票率をどれだけ上げられるかが注目される。

 沖縄市の選挙人名簿登録者数は14日現在、11万171人(男性5万2496人、女性5万7675人)となっている。