久米島町長に再選 大田治雄氏に聞く 政策参与 設置へ 海洋深層水施設を増設


社会
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 【沖縄県久米島】17日に告示された久米島町長選挙で、無投票で再選を果たした現職の大田治雄氏(62)に、今後の町政運営について聞いた。

抱負を語る大田治雄氏=17日、久米島町西銘の後援会事務所

 ―2期連続で無投票当選となった。

 「1期目の公約は70%は達成できたが、まだまだ課題がある。緊張感を持って取り組みたい」

 ―一番の課題は何か。

 「人口減少問題にどう歯止めをかけるかだ。実現するには新たな雇用を生み出さなければならない」

 ―重点施策は。

 「海洋深層水の取水管を増設したい。現在の約1万3千トンを10万トン以上にすると養殖などが増え、さらに産業が展開でき新たな雇用が生まれる。実現に向け、国、県との調整役として本年度中に政策参与を置く」

 ―農林水産業振興へどう取り組むか。

 「サトウキビは後継者が不足し高齢化している。キビの収量は減っているが、畜産や紅芋などが増え、(農業は)総合的にマイナスではない。キビの農閑期にモズクや車エビなどを合わせた複合経営でもいい。水産業も後継者が課題だ。移住定住コンシェルジュで情報発信し、移住定住につなげたい」

 ―観光振興への取り組みは。

 「ホテルや民宿の稼働率は約6割で、好調とは言えない。ジェット便の1日3便を復活させ、修学旅行など団体を呼び込みたい。また、那覇港を起点に本島と近隣離島を周遊する高速船を近隣離島と導入したい」

 ―福祉施策について。

 「高齢化により認知症の人も増えている。デイサービスの充実など民間の取り組みを支援したい。精神障がいの患者のケアも必要だ。老人ホームが足りず島外に出るケースもある。最期は島で迎えられる環境にしたい。公立久米島病院で出産できないことも大きな問題だ。現場と意見交換しながら島で出産できる環境の実現を目指す」

 ―昨年は職員の横領問題もあった。

 「文書の管理や異動の引継書などを徹底した。職員の講習も定期的にやっていく」

 ―2期目の意気込みは。

 「『夢つむぐ島 久米島』の実現に向け、有権者、役場職員、議会とスクラムを組み、いろんな人たちの知恵を借りながら取り組む」
(聞き手・豊浜由紀子)