子どもシェルター2年 退所後の「居場所」課題 10代後半への支援訴え


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子どもシェルターおきなわ開設2周年を記念し開かれたシンポジウム=21日、那覇市おもろまちの那覇市職員厚生会厚生会館

 虐待や貧困などを背景に、家庭で居場所を失った子どもに安心できる場所を提供するNPO法人子どもシェルターおきなわは21日、沖縄県那覇市内で開設2周年記念のシンポジウムを開いた。同法人理事長の横江崇弁護士は「中・長期的に支えることはシェルターでは難しい。シェルターの退所先が不足している」と話し、特に10代後半の子どもたちの支援を呼び掛けた。

 子どもシェルターは、およそ15~18歳の女の子を対象に、無料で寝泊まりする場所を提供している。2017年度は延べ17人(実人数14人)が利用し、平均滞在日数は28日だった。

 第1部では、家出をしようとしていたところ、シェルターに保護された18歳の女子高生(当時)のインタビューが映像で紹介された。支援を受けた女子高生は支援で家族との話し合いを経て自宅に戻ることができたという。「自分の気持ちを整理したことで、家族と向き合えるようになった。大切な時間だった」と語った。

 第2部のシンポジウムでは横江理事長、コザ児童相談所の後野哲彦さん、児童養護施設島添の丘の新垣和彦さん、自立援助ホームの元職員宮里秀勝さん、子どもの居場所Kukulu(ククル)の稲垣暁さんらが10代後半の子どもたちの支援について議論を深めた。

 浦添市から来た梅原尚子さん(47)は「支援機関の人たちは手いっぱいなので、私のような普通の人が子どもたちに声を掛けるなどする助けが必要ではないかと思った」と語った。