SNS投稿内容、金銭問題で…現職市長の後援会が分裂 沖縄・豊見城市


この記事を書いた人 大森 茂夫
豊見城市長の宜保晴毅氏の後援会からの退会を報告する赤嶺要善副会長(中央)ら=25日、豊見城市社会福祉協議会

 【豊見城】2010年と14年の沖縄県の豊見城市長選挙で現職の宜保晴毅氏を支援してきた後援会副会長の赤嶺要善氏や県議の島袋大氏、市議会与党の議員らが25日、同市社会福祉協議会で記者会見を開き、宜保氏の後援会から退会すると発表した。与党議員らは同日、10月の市長選で宜保氏以外の保守系候補を擁立するための、新たな選考委員会を発足させ、初会合を開いた。5月末をめどに候補者を擁立したい考えだ。

 会見には市議会(定数24、欠員1)与党議員のうち、最大会派の豊政会(7人)と声論会(4人)の議員や前副市長の瀬長満氏、市議会OBらを含む18人が出席した。後援会長の金城豊明前市長は体調不良で欠席したが、新たな候補擁立の動きに賛同しているという。

 赤嶺氏は「市長に対して市民からさまざまな批判の声があった。このままでは市民との信頼関係や市政運営に影響がある」と述べ、宜保氏不支持を表明した。

 批判の具体的な内容については「フェイスブックでの不適切な投稿」や、利害関係のある業者と金銭の貸し借りに関する情報があり「本人も一部認めている」などと述べた。

 新しい選考委は「さらに輝くとみぐすくを創る市民の会」と銘打ち、メンバーは市議や経済界、各地域の代表ら21人。委員長の島袋県議は「未来志向でさらに豊見城を発展できる人材を擁立する」と話した。

 宜保氏は、琉球新報の取材に対し「批判については反省し、改めると伝えてきたが通じなかった。残念だ」と述べた。利害関係のある業者との金銭の貸し借りについては「プライベートで親族の会社に支援を依頼したことはあったが、便宜を図るなど法を犯すようなことは一切ない」と述べた。宜保氏は、3選出馬へ意欲を示している。

【解説】背景に強い不信感

 今年10月の豊見城市長選挙を前に、現職の宜保晴毅氏と、宜保氏を支援してきた保守系市議らとの分裂が決定的になった。会員制交流サイト(SNS)の発信内容や市政運営に関して、市議らの間に強い不信感が募っていたことが背景にある。ただ、与党市議らが開いた会見では、後援会退会の決め手となる理由についてはっきりした説明はなく「晴毅憎し」(自民党県連関係者)による場当たり的な対応との印象も否めない。

 与党関係者によると、宜保氏の周辺では約2年前から「現職では勝てない」との声が上がり始め、保守候補の一本化を目標に宜保氏も交えて話し合いを重ねてきた。宜保氏は当初「副市長や市議との信頼関係が崩れた責任はある」として、副市長の辞職を条件に勇退も視野に入れていた。しかし、話し合いは決裂し、副市長を解職。市議らの反発の引き金となった。

 一方、宜保市長は「自分には市民が付いている」と周囲に3選への意欲を示しており、保守一本化は現段階では難しい状況だ。

 豊見城市長選は、辺野古新基地問題で県政と対立する政府にとって「(知事選に向けて)絶対に落とせない選挙」(政府関係者)だ。市長選まで6カ月を切る中で、今後は与野党それぞれの候補者人選が焦点になる。(半嶺わかな)