辺野古警備費水増し 防衛、業者に告発情報 特定可能な内容漏らす


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 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古での新基地建設で、海上警備を担った会社が費用を水増ししていた問題で、沖縄防衛局が通報者を特定し得る形で内部告発の内容を元請けの大成建設に漏らしていたことが26日、防衛省などへの取材で分かった。防衛省は「個人情報保護の観点から不適切だった」と認めた。

 防衛省によると2016年1月に、警備に当たったライジングサンセキュリティーサービス(東京都)の従業員を名乗る人物から、警備の人数を水増しして警備費を過大に算定しているとの通報が沖縄防衛局に入った。

 通報を受け、防衛局職員が事実関係の確認を元請けの大成建設に指示する際、通報者との電話でのやり取りを記した内部資料の「電話折衝記録」を渡した。通報者の氏名と電話番号を黒塗りにしたが、やり取りの記録を基に人物の特定が可能な内容だった。

 沖縄防衛局は「明らかにした情報と他の情報などを照合することで、個人が特定できると考えられる。対応は不適切だった。今後、保有する個人情報は厳格に取り扱う」と述べた。

 大成建設は琉球新報社の取材に「防衛省から告発内容に基づく調査依頼を受け、警備会社への調査を行い、誤りが確認されたため是正した。今後このようなことのないよう請求内容の確認を徹底し、再発防止に努める」と回答した。

 沖縄防衛局は14年、大成建設に工事を発注し、そのうちの海上警備を大成建設がライジング社に委託していた。

 ライジング社は仕様書より少ない人数で警備をしながら、人件費約7億4千万円を事実上水増しした実績を提出していたことが内部告発で発覚した。